第72回全国高等学校 PTA連合会大会宮城大会に参加して(前編)

2023年09月11日

第72回全国高等学校 PTA連合会大会 宮城大会 『豊かな杜につむぐ虹の光』
〜しなやかな強さで生き抜く力〜に参加して(前編)
(2023年8月24日(木)分科会、8月25日(金)全体会)

 8月24日(木)、25日(金)の2日間にわたって行われた宮城大会。第1日目の8月24日に参加した第5分科会は、「防災・減災教育」をテーマに、基調講演とパネルディスカッションが行われました。
 基調講演は、「実践的な災害対応能力を身につけるための”これから”の防災教育案」を演題とした、東北大学災害科学国際研究所准教授の佐藤翔輔氏による講演会でした。
 講演後に行われたパネルディスカッションでは、「震災学習・伝承活動が拓く教育の未来」というテーマで、コーディネーターとして宮城教育大学特任教授の武田真一氏、パネリストとして岸貴司氏(高校主幹教諭)、工藤恵李氏(高校PTA副会長)、中居林優心氏(高校3年生)から教員、保護者、生徒の立場から東日本大震災の被災地で行われている防災活動・震災学習・震災伝承活動について報告を受け、成果と課題について意見交換が行われました。

 基調講演では、防災、減災とは何かを理解するというお話の中で、防災(リスクを回避する、緩和する)とは被害を出さない事を目的とする被害抑止であり、減災(リスクを転嫁する、受容する)とは被害が出ても影響を最小限にする事を目的とする被害軽減であるという事を学びました。講演の中で、来場者全員が災害への備えで大事だと思う事を4つ書き、それがリスクの回避、緩和、転嫁、受容のどれに該当するのか、来場者同士で確認する作業がありました。
 被害を最小限にするために一番重要な事は、リスクを回避する事ですが、それは、とても難しいことがわかります。例えば、ハザードマップを確認するという備えにおいては、危険な場所には家を建てないことは、防災の中のリスクの回避にあたり、既に災害が起こりそうな場所に家がある場合に耐震補強をしたり家具の固定をしたりすることは、防災においてリスクを緩和するにあたります。ハザードマップをみて避難経路を確認する、避難訓練をするなどは、減災においてのリスクの受容になります。また、減災においてのリスクの転嫁は、地震保険になります。ちなみに、宮城県は、震災前から保険加入率全国1位だったそうで、それが復興の早さにも繋がったと言われています。
 子どもさんがこれから大学生になり一人暮らしをする方も多いと思います。リスクを回避するためには、ハザードマップを確認してそもそも危険な場所を選ばす耐震基準を満たした家に住まわせる事が、子どもの命を守る一番の備えになるという事を学びました。

 講演、パネルディスカッションを通じて、防災、減災のまなび方についてのお話がありました。災害が起こるとその経験やパターンは、無数にあるため、それらを全てデータ化したり社会に共有する事は難しく、災害時にマニュアルが役に立たないのは、それが原因でもあります。
 地域や状況によって、災害の形も様々です。災害においての対応も無数に存在するため、臨機応変な対応が求められます。災害の記憶を状態化しつつも固定化しないようにするには、資料などを通して事実を論理的に学ぶ事と、対話や会話を通して災害実例を「体験者から直接学ぶ」、両輪の知識の学びが必要です。

 私たちは、第5分科会に先立ち、前日に東日本大震災によって壊滅的な被害を受けた宮城県名取市閖上地区で震災研修を行いました。震災を経験した語り部さんが、震災前、震災直後の状況、その後の復興の経緯や現状を自らの被災体験を踏まえて、生々しくお伝えくださいました。
 地震直後は、液状化がおこり、あらゆるところから水が出ている異常な状況だったそうです。語り部さんは、すぐに歩いて避難しましたが、近所の住民のほとんどは、牡鹿半島があるから津波は来ないという固定観念と、停電により全く情報が入らず、防災無線も使えなくなっていたため、避難を呼びかける声が届かなかったことで、正常性バイアスが働き、避難をせずに多くの方が亡くなりました。あの時、もっと強く避難を促せば良かったと後悔されているそうです。
 また、津波は、より遠くに、より高いところに逃げるのが基本ですが、自家用車で逃げた方は、渋滞に巻き込まれて逃げることができませんでした。津波の後は、家のプロパンガスによる爆発で火災が次々と起きました。生まれ育った町がなすすべもなく廃墟と化し、呆然とするしかなかったそうです。
 現在、5メートル嵩上げされた閖上の市街地は、減災対策をして再建されています。語り部さんから語られた事実、いのちの大切さを私自身が帰県して伝えていかなければならないと強く思いました。
 
 今回、閖上地区での震災研修、基調講演、パネルディスカッションを通して、自主性、主体性、表現力、コミュニケーション能力、人間力、生きる力を養い、人とのつながりの中で私たち一人一人が自分事として防災・減災教育の成長に繋げていかなければならないという事を深く学びました。

(後編に続く)

PTA副会長兼研修委員長 押川和代

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